蒸気式

『おじいちゃんが遠くに行ってしまった日』
 ○○年12月の日曜日。昼の3時頃目覚めると何かいつもと違う感じがする。何が違うのかわからないけれど・・・。髪も伸びていたので散髪に出かける。外はびゅーびゅーと冷たい風が吹いていた。途中、携帯電話がピコピコ鳴った。「出たくないなあ」と思った。何か嫌な感じがする。さっき感じたのと同じだ。電話は実家からだった。おじいちゃんが死んだ。その時私は「いいことないかなあ」とつぶやいた。
 駆け足で家に戻る。別に急ぐ必要もないのだけれど、早く戻らないといけない気がした。部屋に戻ってドアをばたんと閉めた途端に涙がボロボロと溢れ出た。涙が止らない。電気もつけずに真っ暗な中、夕方まで座り込んでいた。