警報

長い会議が終わり会議室を出て、非常階段へのドアを開ける。六階から五階まで降りるには、非常階段を使うのが早いから、いつもこうしている。
ふと見慣れないものが目に入る。
「このレバーはなんだろう」
三本の錆付いた鉄のレバー。昨日まではこんなものはなかった。いつもと変わらない風景に違和感を感じるのは、こいつのせいだ。どう考えてもここにこれが必要であるとは思えない。
「引いてみたい」
興味から引いてみたい衝動を押さえられない。
一番左のレバーを引いてみた。
ぎりぎりと外壁の一部分が四角く手前ににじり出て、すとんと転げ落ちた。それはまるでサイコロのような形で、手に取ろうとしたが、右に左に飛び跳ねて、すぅーっと下に落ちた。

壁にぽっかりと穴があいた。覗いてみたが穴の先は真っ暗で何も見えない。中からは微かに風が吹き出ている。


続く...