昔の友達と会う
昔、とても仲がよかった友達と会った。懐かしいね。今どうしているんだよ。ってな話で盛り上がる。お酒も少々入っているので、みんな上機嫌。
しばらくして、仲間の一人がこう話を切り出した。
「小学生の時に埋めたタイムカプセルは今どうなっているだろう。」
そう言えば卒業式の前日にみんなで埋めた記憶が蘇る。タイムカプセルのことなんて誰ももう忘れているんだろうな。いつかみんなで掘り起こして、思い出話に花を咲かせることも。
みんな声を揃えて、「掘ろう」と叫んだ。
時間は深夜だし、見つかりゃしない。だが、僕たちだけで掘り起こすのは少々気が咎めた。が、掘りたい衝動を止めるものは誰もいない。再度、みんなに意志を確認。全員一致で掘り起こすことになった。
みんな相当量のお酒が入っていて、車の運転は出来そうもなかった。その中でも比較的少量しか飲んでいない A 君 が小学校まで運転することになった。途中、A 君の家に立ち寄り、掘削道具を調達。
頼りない運転でなんとか校庭に到着。まずは、タイムカプセルをどこに埋めたのか思い出すことに。なんせ、小学校は新しい校舎になっているし、校庭のレイアウトもすっかり変わってしまっていた。
「どこに埋めたんだっけ。」
「この辺りじゃないの。ライトをこっちに向けて。」
「思い出せよ。」
発掘場所の位置決定に 1 時間をかけて、ようやく「ここだ」という場所の特定に至った。
「よし、掘り起こすぞ。」
ザクザク・・・。
「あった!」
ずっしりとした鉄の箱を取り出した。思ったより重い。
「よーし。開けるぞ。ライトをこっちに。」
「うん。」
ずっしりと重い錆びた鉄の箱が出てきた。当時埋めたものは、こんなんだっけ。何か違うものを掘り起こしたような気がした。
「よし開けるぞ。」
僕は箱を開けた。中を確認しようとした途端、無数の蝶が飛び出してきた。息も出来ないほどに。これはタイムカプセルなんかじゃない。なにか別のものを開けてしまったんだ。
全ての蝶が真っ暗な空に飛び去ってしまってから、仲間の方を見た。
皆、見る見るうちに霧のようになって、すぅっと消えた。